9月27日にメキシコへ旅立つ若き数学者が、帯広に帰省。数学者の送迎と大学院に合格した講師のジョージ君のお祝いの食事会を開くことに。
鮭の稚魚を大海に向けて放流するような気分を味わうべく、大津産鮭を狙いに豊頃産業祭りへ妻と足を運び、会場に販売20分前に到着。鮭の直売会場の前に大行列。騒動に巻き込まれることを想像し、鮭のバター焼きにかわるメニューなどを考えていると、メインステージでは、開会式が行われ、解散総選挙があれば、まもなく戦うであろう議員たちが挨拶、我もいざ出陣!を決意、妻はじゃがいもコーナーに、私はオス鮭コーナーに向かいました。販売が始まるや、後ろに並んでいる人たちがどんどん前へ、「何やってんだあ…ばかやろう…」「うるせぇ!」本気でのライブは、意外と聞いたことがないかもと緊張し、気がつくと両手を握っている、目の前の人が購入したらいよいよ、次は自分が、売り場の最前列にならび、鮭に手が届けば購入できるはずが、あんなに積み重なって並んでいた鮭がいない!
鮭をめぐる仁義なき戦いを見ながら、中学校の公民で、子供たちが「効率と公正」について、会計時の並び方の方法について、考えたりするのですが、お祭りの直売所でも考えたらいいのに、と考えたり、でも、このカオス感がお祭りの活気を演出しているのかもと思いつつ、販売係の人達を見ていると、一尾ずつ値段が違い、普段はレジなどを扱っていないのか、お釣りの計算に苦労している様子。
最前列にたどり着いたときには、虚しい氷だけ。まだチャンスがあった。最初に並びきらなかった鮭を一尾ずつ、挙手して手渡された人が購入、最前列~3列目の人たちが僅かな望みをかけて、何かを叫んでいる。「叫ぶのか?」「お前も負けずに叫ぶのか?」「いや、自分には無理!」、目線をさらに先へ移し、クーラーボックスから出されるやいなや値札を確認し、丁度のお金を指し出して目線を合わせたら…鮭が我が手に。勝った。苦手な状況で勝った。これで、数学者に「ずる賢さも必要ですよ。」と褒められる。
身の厚い大津産の鮭は、バター焼きにするとしっとりとしていて絶品で、塾生時代、卒塾後は講師として、10年以上塾を支えてくれている若者達は大喜びでした。 数学者はメキシコへ、ジョージ君は東京に旅立っていきますが、「さらに先へ、学問の道を旅する君たちに鮭(幸)あれ!」