Love Letter From Taiwan

帰省の際に、卒塾生の指導も行ったOBのF江君からのお祝いの言葉です。

 当塾、2024卒塾生の最後の課題です。「全文を高校入学までに暗唱せよ!」

 以下は、私へのメールに届いた全文です。

 

「学問のススメ」2023年度卒塾生の皆様へ

まず中学校卒業ならびに志望校合格おめでとうございます!

私は2011年度「学問のススメ」卒塾生のFKと申します.

現在は北海道大学理学院数学専攻博士課程の3年生で、4月から京都大学数学教室にてポストドクターとして数学の研究に従事する予定です。

皆さんからみて12年先輩にあたる私ですが、卒塾後は帯広柏葉高校に進学し3年、北海道大学の理学部数学科で4年、そして同修士・博士課程でそれぞれ2年・3年と勉強を続けてきました。

また塾長の受川先生からは、中学生のときはもちろん、卒業後は時間外講師として「学問のススメ」に関わらせていただき、さらにときには人生の様々な局面において相談に乗っていただき、そして助言をいただくなどして大変お世話になってきました。

今回、卒塾生の皆様が祝宴を催されると聞き、ささやかながら祝辞を述べさせていただきます。

皆さんの受験勉強における努力が報われましたこと、前文にも述べましたが、重ねておめでとうございます!

さて、これで祝電を終えてもよいのですが、私もついに学生ではなくなりますので,後輩に対して少々やかましく、いくつか助言を述べたく存じます。

1. 周囲に感謝を.

受験勉強という人生でおそらく初めての苦境を、喜びを持って乗り越えられたことは誠に素晴らしい快挙と言えるでしょう。

人によっては、喜びのあまり、全能感に酔いしれ,自分一人の力で受かったのだと思うこともあるのではないでしょうか。

勉強というのは、自分自身と向かい合い自己を知ることで得た教訓や能力を他者に還元すること、それこそが基本的な態度であり目標ではないかと思います。

しかし受験という特殊な場面においては,周囲と学習状況や理解度について否応なく比較されることになります。(それが本質ではないのに!)

そういう意味で、ある局面では自己中心的になり、他者を思いやることも難しくなってしまうはずです。

ですが、思い出してください。なんのための勉強だったのか。なんのための努力だったのか。

自分自身の力だけで乗り越えられたわけではないはずです。

支えてくれた人、また学べる機会を提供してくれた社会があってのこと——そうではないでしょうか。

今後はより広い視野を取り戻し、まず家族へ、そして友人・先生たちへ感謝の気持ちを表しましょう。

そして、世のため人のためになることを常に心がけてください。

(決して学力だけで人を測るような小さい人間にならないでほしい。)

2. ここがゴールと思うなかれ.

これから高校に入学した後も、勉強は続きます。

もしかしなくても、勉強すなわち努力というのは一生続く営みのはずです。

まだよくわからないかもしれないのですが、できればこれから周囲を注意深く観察してみてください。

努力をやめてしまうと、人はあっという間にみずみずしさを失い、つまらない人間になってしまいます。

身体的な成長がいつかは止まってしまうのに比べ、精神的な成長は限りなく続けられるのです。

そして、そういう人は、年を経たとしても、より一層の輝きを放つようになります。

つねに何か知らないことを知ろうとし、できないことに挑戦していくことで、人は成長し続け、喜びを持って生きていけるのだ——と私は信じています。

私にとって大きな指針となったのは数学ですが、それはなんだって構わないはずです。

なにか自分を超えた大きな目標を持てれば幸せでしょうし、そうでなくても人生を真剣に、より良く生きることを目指してください。

なんにせよ、まずは勉強を頑張ることになるかと思います。

しかし、それはただ良い点数をとることや、良い成績をとること、良い大学に入ることが目的ではないはずです。

知りましょう。学びましょう。人と文化を尊敬し、愛しましょう。

(ときにはひと段落がついて肩の荷を下ろし腰を休めるのはよいことだろう。しかし、眼差しは目指す高峰へつねに向け続けてほしい。)

以上は精神論です。以下では具体的な助言を述べます。(書いた後に気づいたのですが、なぜか英語を日本語に訳したようになってしまいました…少しおかしいですが、このままにしておきます。)

1. なにか特別にやりたいことを持っていないのであれば勉強を頑張りましょう。

2. 人間のやる気など当てになりません。勉強する環境を作りましょう。環境とは、時間・場所・友人・先生・健康を整えることです。

3. N年生になったら、毎日自習を少なくともN時間はしましょう。(N =1, 2, 3)

4. 静かに勉強できる場所をいくつか持っておくべきです。家ではできない人もいるかもしれません。図書館はどうでしょう? 自習室は?

どうしても一人でできない人は塾に入るのも選択肢の一つかもしれません。

5. 活力を持った尊敬できる良い友人を作りましょう。なかなかできないかもしれません。

そういうときは、まずあなたが良い人となり、そういう人を惹きつけられるよう頑張りましょう。

6. 皮肉屋になるのは辞めましょう。魅力的な楽天家を目指すべきです。周囲が応援したくなるような人になりましょう。先生とよい協力関係を結びましょう。彼らは基本的にあなたの強力な味方です。

7. 徹夜など無理をして短期的に自分を追い詰めるのは、ある意味では自己満足に過ぎませんし本当の努力とはいえません。

長期的な計画を立て粛々と静かに努力を続けられるようになりましょう。

8. 規則正しい生活は全ての基礎になります。個人的な経験則ですが、健康にとって重要な順に、睡眠・食事・運動を大切にしましょう。

9. まずは英語をやりましょう。才能は要りませんが、根気と時間が要ります。そして英語は一生使えますし、汎用性も高いです。

もし熟達することに成功したら人生のあらゆる局面であなたを助けてくれますし、選択肢と視野が信じられないほど広がります。

10. 友人や先生を侮ったり、課題に対して手を抜いたりするのは辞めましょう。できる限りベストを尽くしてください。

というのも。それはあらゆる意味で自分のためにならないからです。

11. しかし、これは矛盾しているのですが、高校生になったら大人になるための一歩として狡さを身につけましょう。

物事を裏側からも見られるようになるべきだからです。

たとえば実際の問題として:すべての先生が尊敬できる素晴らしい人間であろうはずもありません——しかし、それはあなたが彼らに表立って反抗する理由にはなり得ません。

それはずる賢さなどではなく、ただの幼稚な反応に過ぎないからです。表面的でも構わないので、適切な敬意を払いましょう。(神格化もせずに。先生もただ一人の人間に過ぎない。)

12. 親との関係性にも目を向け、考えてみましょう。15歳を過ぎたあなたはもう立派な一人の人間として思考・行動し、責任を持てるはずです。

ただ経済的な意味では、まだ自立することはできませんから、それは過渡期における中心的な葛藤となるはずです。

13. スマートフォンやインターネットにはとくに気をつけてください。適切な距離感を把握しましょう。

それはただの道具です。支配されないでください。ただ、使いこなせるようになる必要があります。

14. おすすめは本をたくさん読むことです。なんだって構いません。(たとえば漫画だっていい。大切なのは、良いものも悪いものも取り入れること。まずは質よりも量!)

夏目漱石や太宰治などに触れるのは教養的な側面もあるし、いわゆる名著を読み、時間と場所を超えた人間に共通する普遍的なものを知り共感することで、あなたは深みを持った人間になれるはずです.

以上、くどくどと過ぎたことを申し上げてしまい、今更ながら恐縮して参りました。

まったく、私は上のようなことができなかったため、過去の自分に対する反省と後悔、そして憎しみを込めて、

皆さんに私のできなかったことを是非ともやってもらいたいと思って述べたのです。

ですから、上で述べたことの反対が高校生の私にそっくり当てはまります。

これ以上、私の話を聞く必要がないことはもうとっくにお分かりかと思います。

どうせもうこれから顔を合わせる人も少ないだろうし、恥ずかしいことも思い切って言ってしまいましょう。

人を、人生を愛しましょう! それだけでいいです! そこから全てに繋がっていきます!

卒業おめでとう! これからも頑張れ!

2024年3月19日 台湾より愛をこめて FK

受川より:最後まで読んだ人、当塾でしっかりと知的耐力を育みましたね。これによって卒塾認定といたします。

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