PISAの結果

 OECDが行った、2022年のPISAの結果が出たようです。日本の高校1年生が、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野全てで点数が向上し、OECD加盟国の中でもトップクラスだと、報道されています。         

 他国に比べて、コロナの影響が少なかったことや、パソコンを使ったテストの形式に慣れてきたこと、新指導要領の効果や、学校での授業の質の向上があげられています。

 学習塾を運営し、普段、受験指導をしている者の視座で考えると、大学入学共通テストや、公立高校入試問題の中に、PISA型の問題を意識したものが導入されていることが一番大きいと思います。公的な試験を通じて、半ば強制的に読解力や記述力を身につけさせているような側面も感じます。かつて、テストや宿題がないのに、学力が高く、理想の教育を行っているとされていたフィンランドの成績が凋落しているのとは対照的です。

 3月に行われた、北海道の公立入試では、私の経験上、初めてのことが起こりました。例年、入試終了後に本人が自己採点し、合格発表の翌日以降に受験校へ行き、実際の点数を確認しているのですが、例年、自己採点よりも、実際の点数が高い生徒のほうが多く、平均点も10点程上がるのですが、今年に限っては、同じ点数の生徒が2名、残り10名以上は、全員実際の点数が低く、平均点も10点程下がってしまったのです。自己採点には、受験生本人の学力や性格も反映されるため、そういった生徒が多かったのかと思っていましたが、道コンの調査が夏に発表されて、札幌南や札幌北を受験した生徒も、例年とは違い、自己採点よりも実際の点数が下がっていたとのことでした。

 原因は二つ考えられます。一つは、受験生の記述力と、模範解答を読解する力の不足、もう一つは、大学入試を指導している高校の先生方が、採点に厳しくなっていることです。より一層、記述問題への対策が必要です。

 北海道では、2023年の公立入試から現在行われている学力テストまで、理科の難易度が高くなっています。PISAのテストで測る、3分野の学力全てが必要な教科です。用語や解法パターンの暗記だけでは、高得点は望めず、読解力や記述力を必要とする問題が増えています。一方、苦戦しながらも、根気強く問題に取り組み、テスト終了後に解けなかった問題に向き合っている生徒は、私の予想を超えて、点数を伸ばしています。

 今回のPISAの結果を受けて、しばらくは、指導要領や入試問題の方向性に変革は起こらず、微調整になっていくのではないでしょうか。学習塾としては、試験で求められる学力を子どもたちが獲得できるように、支援していきたいと思います。

 しかし、国語の問題で、実用文の占める割合が大きいのは、もの悲しさや寒気を感じます。社会に出る前に、たっぷりと文学作品や評論を読み込んでほしいところです。若いうちは、情を学び、人間性を育てる大事な時期でもあり、国語という教科には、そういった役割もあります。ぞっとするような全国学力テストの国語の問題は、インターネットでも閲覧できます。

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