真に学力を向上させるためには、学習時間と学習の質の両方を確保することが不可欠です。
教材の選び方、目標に沿ったカリキュラム、集中できる環境、本人の意欲など、学習の「質」は多面的ですが、なかでも目的意識は大きな要因となります。
ある試験に向けて「長時間頑張った」とき、その努力は間違いなく素晴らしいものです。成果を上げるための必要条件の一つを達成したことになります。
しかし、かけた時間に対して思ったほど点数が取れないと、悔しさや納得できない気持ちが湧いてくることもあるでしょう。
私自身にも、そんな経験があります。
高校1年生の冬、サッカー部の大会もなく、たっぷりと勉強時間を確保できた12月のテスト。これまでで最高の順位を目指し、冬休みに胸を張って帰省しようと意気込んでいました。寮生活だったため、周囲の勉強時間もよく見えていました。
私は毎朝5時に「気合目覚まし」(寮ではアラーム禁止)で起き、登校前に2時間勉強。夜は8時〜11時の義務自習。平日でも学校外で5時間は勉強していました。自習室では「主」と呼ばれるほどの存在でした。
試験直前の土日も大会がなく、初めて長時間集中して勉強できる環境が整っていました。
ところが、結果はこれまでで最低の点数と順位。
さらに、自分より勉強時間が少ない同級生に抜かれたことが、ショックに拍車をかけました。言葉にはしなくても、「君に負けるなんて…」という態度を取ってしまったかもしれません。気づけば背中に蕁麻疹がびっしり。高校に入って初めて部活を休み、張り詰めていた気が抜けたのでしょうか。病院へ向かう途中、冷たい空気が妙に心地よく感じた瞬間、蕁麻疹は消えていました。
その出来事を通して、自分の心の在り方を恥ずかしく感じました。
それ以降は、学習量は変えずとも、勝ち負けへのこだわりを捨て、周囲の良いところに目を向け、素直に感心できるようになりました。
すると不思議なことに、テストの成績は見立て以上に伸びていったのです。
どんなに努力しても敵わない友人もいました。彼らは東大や京大に進学し、今では大学教授として活躍しています。私のように「いい大学に入りたい」「ストイックに頑張りたい」という目的だけでは、追いつけるはずもなかったのです。
勉強の本当の意義とは、知識そのものを深く理解し、それを人生のさまざまな場面で応用できるようになることです。
中学3年生の皆さんは、この2学期にテストが続きます。
結果が思ったより悪かったり、友人の成績が受け入れがたいほど良かったりすることもあるかもしれません。そんなときこそ、悲観的になったり、誰かを責めたりするのではなく、冷静に受け止めてみてください。
- 「自分の取り組み方のどこが足りなかったのか」
- 「友人はなぜ良い結果を出せたのか」
そう考えることが、次の成長につながります。
悩んだときは、いつでも相談してください。