先日発表された第1回北海道学力コンクール(道コン)の結果概要をご報告します。まず高校入試の倍率動向を占う上で重要となる受験者数の推移を確認します。
<第1回 道コン 受験者数の推移>
2022年 十勝・全道 | 2023年 十勝・全道 | 2024年 十勝・全道 | 2025年 十勝・全道 | |
中学2年生 | 538・7994 現高2 | 534・7576 現高1 | 444・7311 現中3 | 480・7174 現中2 |
中学3年生 | 787・10931 現高3 | 690・10502 現高2 | 683・10274 現高1 | 567・9852 現中3 |
<受験者数の増減率(2022年 vs 2025年)>
2022年と比較すると、2025年の第1回道コン受験者数は以下の通り減少しています。
- 中学2年生: 全道 -10.3% 、 十勝管内 -10.8%
- 中学3年生: 全道 -9.9% 、 十勝管内 -28.0%
特に、現在の中学3年生(2026年入試対象)において、十勝管内の受験者数が全道平均の約3倍の減少率(-28.0%)となっており、顕著な減少が見られます。
<中学3年生:主要3校 第一志望者数の推移>
2022年 現高3 | 2023年 現高2 | 2024年 現高1 | 2025年 現中3 | |
柏葉第一志望者数 | 219 | 209 | 188 | 158 |
三条第一志望者数 | 203 | 143 | 140 | 118 |
緑陽第一志望者数 | 112 | 117 | 96 | 89 |
三校第一志望者数 | 534 | 469 | 424 | 365 |
三校最終出願者数 | 821 | 732 | 777 |
*三校合計最終出願者数には、三条高校の推薦合格者48名と緑陽高校の推薦合格者32名を含みます。
現在の中学3年生における主要3校(柏葉・三条・緑陽)の第一志望者数合計は365名となり、2022年(現高3生)の534名と比較して31.6%の大幅な減少となっています。
この第1回道コンの結果だけを見ると、来年度(2026年)入試におけるこれら3校への出願者数は減少する可能性が示唆されます。背景には、私立高校や職業科を含む公立高校への推薦入試志望者の増加も影響していると考えられます。
ただし、注意が必要です。現高校1年生(2025年入試)の際も、第1回道コン時点では志望者減少傾向が見られましたが、その後の道コンで志望者数が増加に転じ、最終的な出願者数は現高校2年生(2024年入試)を上回り、入試倍率が上昇した経緯があります。今後の動向を注視する必要があります。
<中学2年生:主要3校 第一志望者数の推移>
2022年 現高2 | 2023年 現高1 | 2024年 現中3 | 2025年 現中2 | |
柏葉第一志望者数 | 205 | 194 | 154 | 184 |
三条第一志望者数 | 140 | 122 | 94 | 99 |
緑陽第一志望者数 | 58 | 67 | 68 | 50 |
三校第一志望者数 | 403 | 383 | 316 | 333 |
現中学3年生(2026年入試対象)の道コン受験者数や主要校志望者数の減少傾向を受け、十勝管内全体の学力レベルへの影響を懸念する声もあります。(※参考:釧路管内では近年、受験倍率の低下傾向が見られ、トップ校で二次募集が行われるケースがあります。そのため、地域の中学生の学力が低下しているようです。)
そのような状況の中、現中学2年生(2027年入試対象)の第1回道コンでは、受験者数(十勝管内:480名、前年比+36名)・柏葉高校第一志望者数(184名、前年比+30名)ともに増加に転じている点は好材料と言えるでしょう。
<参考:柏葉・三条・緑陽 最終入試倍率の推移>
柏葉 | 三条 | 緑陽 | |
2021年 | 303/240 1.26倍 | 246/192 1.28倍 | 162/128 1.27倍 |
2022年 | 303/240 1.26倍 | 284/192 1.48倍 | 167/128 1.30倍 |
2023年 | 309/240 1.29倍 | 245/192 1.28倍 | 187/128 1.46倍 |
2024年 | 267/240 1.11倍 | 229/192 1.20倍 | 156/128 1.22倍 |
2025年 | 283/240 1.18倍 | 242/192 1.26倍 | 172/128 1.34倍 |
<参考:上記3校 合計の定員超過数(最終出願時)>
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
151 | 194 | 181 | 92 | 137 |
(注:実際の不合格者数は、当日の欠席者や合格辞退者があるため、上記の超過数から30~50名程度少なくなることが想定されます。)
<第1回道コン 平均点の比較(全道・十勝・当塾)>
当塾では中学1年生の8月より、塾生全員に道コンを受験してもらっています。今回の第1回道コンには、中学2年生16名、中学3年生19名が参加しました。
【中学2年生 平均点】
国語 | 数学 | 社会 | 理科 | 英語 | 合計 | |
全道平均 | 58 | 41 | 59 | 51 | 62 | 271 |
十勝平均 | 53 | 38 | 57 | 48 | 57 | 253 |
当塾平均 | 62 | 46 | 69 | 58 | 66 | 301 |
学年内で得点差が見られました。一部、目標点に届かなかった生徒も見受けられ、今後の学習への取り組みが一層重要になります。
【中学3年生 平均点】
国語 | 数学 | 社会 | 理科 | 英語 | 合計 | |
全道平均 | 55 | 47 | 49 | 52 | 52 | 255 |
十勝平均 | 51 | 45 | 45 | 50 | 49 | 240 |
当塾平均 | 66 | 57 | 54 | 56 | 54 | 287 |
中学3年生からは、試験時間が40分から50分へと入試本番と同じになり、問題の文章量増加などに対応しきれなかった生徒もいたようです。 学校の定期テストは比較的短い問題が多く、知識の暗記が中心でも得点しやすい場合があります。しかし、道コンや実際の高校入試では、問題文を正確に読み解く読解力、用語の定義を深く理解する力、そして解法プロセスを論理的に説明できる思考力・表現力が求められます。 単なる暗記に留まらず、これらの力を養う学習を共に進めていくことが、目標達成への鍵となります。