私がラーメン店を経営している頃は、食べログなどが、ほとんど注目されていない時代で、口コミなどは、リアルな知り合いや、グルメ系のブログでの評価が中心でした。今の時代に経営していたら、常に、インターネット上の評判を、自分の店だけでなく、他店も意識し、それが相当なストレスとなっていることでしょう。
学習塾に関しては、しばらく評価サイトが乱立していて、そもそも、塾をいくつも経験するような人も少ないため、学習塾のネット上の口コミなどは全く機能せず、リアルな口コミや宣伝力が勝負でした。私の場合、ラーメン店時代にテレビでの紹介などをきっかけに、お客さんが大勢来店した際に、充分なサービスができなかった経験や、私の開塾当時、大手塾のチラシは紙質が大変よく、予算の関係で品質の低い紙のチラシで宣伝しても、かえって、イメージダウンにつながると判断し、宣伝を一切せずに、指導に尽力し、リアルな口コミだけで塾を運営してきました。
玄関の表札一つで、15年程続けていくうちに、学習塾のポータルサイトが確立され、全国展開の個別指導塾などは、ポータルサイトに課金することによって、多くの生徒を獲得するようなビジネスモデルが出来上がってきました。「教育の質を上げる」ことよりも、「広告戦略を練る」ほうが費用対効果が高いと言われている業界のため、必然といえば必然かもしれません。
ランキングや自称利用者による口コミによって、サイトが構成されているのですが、ランキング上位はどこの地域も、サイトを通した資料請求や入塾に多額の費用を払っている塾ばかりです。さらに、無課金の塾は勝手に掲載され、口コミレビューも課金塾の集客を助けるよう内容で載せられるのです。
当塾の場合、15年間で1件の口コミがあり、卒塾生の保護者による、的確な口コミでした。内容も申し分なく、塾の有り様と矛盾していることは書かれていませんでした。しかし、昨年の今頃、1ヶ月に4件の口コミが連続して掲載され、内容的に、入塾を検討している生徒の保護者が塾を疑うような内容が散りばめられたものでした。
口コミの内容は、「当塾の実状を知らない」どころか、「帯広の実状を知らない」、「日本人ではない…?」、「そもそも人間が書いたのか?」というものでした。最初の本物の口コミは「先生が熱心」「対策授業などに追加料金がかからない」「時間の許す限り教えてもらえる」「塾はコンパクトでアットホーム」という内容でしたが、嘘の口コミでは「先講師(たぶん先生と講師が混ざった)が友達感覚で、子供たちが先生に失礼な感じ」「塾が狭すぎて、勉強しに行っても、家に帰らせられた」…など、現状とは全く違うもので、さらには「地下鉄で通塾し、駅から塾まで大きな鋼板(たぶん看板の間違い)がある」「国立小学校出身」…など帯広とは無縁なことが書かれ、きまって入塾後の成績の欄はdownと書かれていました。
嘘の口コミの中に、「先生はヨン様のように包容力がある」ぐらい書かれていたら、放置していたでしょうが、笑えるような内容が全くなかったため、1件1件の口コミに削除依頼を行いました。トップページでは塾の形態や指導学年が全く異なっていましたが、そこは、敢えて訂正しませんでした。嘘の口コミが実状と異なることを証明するのが容易になると思ったからです。
4件目の削除依頼の後、ポータルサイトから当塾そのものが、消えてなくなりました。「帯広市 学問のススメ」と検索しても、「該当する塾は存在しません」という表記に変わりました。一方で、10年程前に閉鎖された学習塾は、今もポータルサイトで紹介され、その時代にはいないはずの塾生や保護者の口コミが載せられたりしています。塾の紹介件数や口コミ件数を増やす目的でしょうが、広告サイトとして「教育の質を上げる」<「広告戦略を練る」という塾だけの紹介にしてほしいものです。
もし、お子さんのためになる塾を探す場合には、リアルな口コミや、塾のホームページからにじみ出る理念や思想をもとに考えることをお勧めします。