藤江 克徳
帯広柏葉高校
北海道大学理学院数学専攻博士課程
入塾のきっかけを教えてください
中学1年生の初めての中間試験で思ったように点数を取ることができず,小学校の頃よりも勉強のレベルが一段上がったことを実感しました.そこから一念発起し,自学自習を始めましたが自分一人で学校から配られているワークを解いているだけではなかなか完璧な理解は難しいと思うようになりました.そんなときクラスの友人が塾の学習資料に取り組んでいるのを見て,僕も塾に通う必要があるのかなと思いました.そこでまず初めに,帯広で一番大手の塾に体験学習を申し込みました.とても楽しい授業でしたが,教室の雰囲気が騒がしかった点と,講師の方への質問がうまく消化されなかった点が気に掛かりました.次に友人の紹介で学問のススメの授業を体験しました.ペースは早かったように思いますが,集中して静かに勉強している雰囲気がとても気に入り、入塾を決めました.
塾での思い出を教えてください
語りきれないほどたくさんの思い出があります.
受川先生からは単なる学習以上の,人生に対する向き合い方というような点で大きなものを教わった気がします.成績自体は大きな問題ではなく,いま受験という初めて経験する人生の苦境を通じて君たちはいったいどういうものを会得していくのか,ということが先生のよく口にしていたメッセージだったように思います.勉強自体はとても苦しいものであり,逃げたい,やめたいと思うのは当然のことなのだけれど,それと向き合い,受け入れ乗り越える中でどのように自分の力としていくのか.人生という大きな流れの中で,高校受験という特殊な場面において僕はそのような学習意識,ひいては人生への向き合い方を学んだように思います.
当時の自分について,恥ずかしいことなのですが,飽きやすく不徹底な性格からあまり良くない受講態度だったように思います.当時は中学生ですからいろいろと思い悩むことも多かったのですが,受川先生はそんな僕の葛藤を見抜き,よく言えば自由に泳がせてくれたように思います.いまでもよくからかわれるのエピソードとして,塾へ行く前にTSUTAYAで借りたDVDを教室に忘れ,翌日先生から返してもらったことがあるのですが,その際「お前,随分余裕があるなあ」と笑われた覚えがあります.
塾の学習についてですが,宿題や小テストが多く大変だった--はずなのですが,不思議と辛かった思い出はありません.むしろ友達とどれだけ塾に居残り,頑張れるかを競ってゲーム感覚で楽しんでおりました.その意味で良い仲間達にも恵まれたように思います.受験期はどうしてもストレスから苛立った雰囲気に呑まれやすいですが,僕たちは成績を公開しあい,友人の進歩は自分のことのように祝福し合った覚えがあります.そういう意味で,やはり受験勉強は団体戦なのだなと思っています.
当塾での勉強を通じて今でも、役にたっていると感じることを教えてください
高校入学以降も学問のススメでは、時間講師として、後輩たちの指導をしています.やはり教える側に立ってわかること,学べることも多く,たくさんのことを実地で学んできました.まず気づいたのは,子どもというのは気がそぞろで机に向かって勉強するのはとても大変なことで,学習している内容に興味を持たせるということが非常に大切なのだということです.そのため,僕たち講師陣は手を替え・品を替え,あらゆる努力を尽くすのですが,内容を工夫して説明する際,通り一遍の浅い理解ではとても足りないことがわかりました.あとは子どもとどのように信頼関係を作るのか.そのために子どもをよく観察すること,口を出しすぎないことなどに気をつけるようになりました.子どもが一生懸命取り組んで目標を達成していく姿はいまでも眩しく尊いもののように自分には映ります.自分自身への学習意欲についても良い刺激を受けました.具体的には,学習する際に対象を多面的に理解すること,説明するならどのように自分の言葉で語るのかを考えること,以上を知らず知らず心がけるようになったと思います.
*受川より
OB、OGアルバイトの第一号が、克徳君です。今となっては、周期的に近況を確認し合う、半分家族のような存在となっています。いざ、後輩たちに勉強を教えるときは、妥協を許さず、生徒が自分の頭で考えて理解できるまで、粘り強く指導します。生徒たちも「年の近いお兄さん」と甘えることはできず、ある生徒は、なるべく他の先生に質問し、ある生徒は、積極的に疑問をぶつけて、ともに真剣に問題に向き合っています。帰省の際には、よくご飯を一緒に食べるのですが、半年や1年前と比べて成長を感じた生徒を嬉しそうに話してくれます。私として、彼に一番感謝していることは、彼が数学という学問を追究してくれていることです。私は自分の指導によって、点数主義や順位主義を子どもに植え付けて、本来の勉強の楽しさを奪っていけないと日々生徒に向き合っております。純粋に数学を学ぶ彼の姿には、いつも勇気づけられます。