「ペンだこ」と魔球

 今年のこれまでのスポーツ界で、最も感動的なシーンの一つに、WBCでの優勝の瞬間があります。大谷投手が、トラウトから三振を奪った勝負球がスイーパーと呼ばれる魔球でした。

 私には高校時代の母校の地区代表決定戦の応援で見た、思い出の魔球があります。函館ラサールVS函館有斗、白熱の投手戦は7回まで0-0で進みましたが、味方の攻撃時間が短い函館ラサールのエースは、8回に有斗打線につかまり、最終的には負けてしまいました。その後、有斗は南北海道大会を制し、甲子園に出場しました。

 試合には負けたものの、有斗が甲子園で負けるまで、最も三振を奪ったのが、母校のエースであり、私が寮生活の3年間、ずっと隣の机で勉強した親友でした。

 相手エースとは、練習環境や体格などで不利な彼が、なぜ甲子園出場校から三振の山を築けたのか?

 私は試合を応援しながら、ある確信にいたりました。彼はいつも、ものすごい筆圧と集中力で勉強していました。そのため、彼の右手の中指には、尋常ではない大きさの「ペンだこ」があったのです。その「ペンだこ」の影響でスライダーが常軌を逸した変化球になっていると。

 全道大会や甲子園には届きませんでしたが、その親友は、現役で東京大学に進学し、現在は大阪大学で教授をしています。

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